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The power of the Web is in its universality. Access by everyone regardless of disability is an essential aspect. ―Tim Berners-Lee

書評『メディア論―人間の拡張の諸相』マクルーハン

 
難解な文章に苦戦しましたがちょびちょびと3か月くらいかけて完読しました(そして読了からもさらに3か月くらい経ってやおら書評を書いている)。どこを切り取ってもアフォリズムになりそうな縦横無尽の論考が展開される本。有名な一節「メディアはメッセージである」とは、メディアが伝えようとする内容よりも、メディアの形態自体に人々の意識を変える作用があるということ。
 
活版印刷で決定づけられた表音文字文化は、一定方向に流れる場面のつながりという形態を西欧人に染み込ませた。
非近代的な口誦文化の人々は、時系列で場面が転換して進む映画の約束を理解できない。
表音文字文化は産業革命以来の就業の専門分化にも関わっている。
時系列順の情報で受動的な視聴をさせるものは熱いメディア。モザイク状の情報をバラバラにみる能動的な視聴をさせるものは冷たいメディア。
全ての情報が同時に遍在するネットワークの時代は人々の生活そのものを大きく変えるだろう。
以上かいつまんで要約。
 
書かれたのは60年代なんですよね。ここで言うネットワークはまだまだ電気(電信・TV)の登場くらいの意味なのですが、恐ろしいほど現在の高度情報社会を言い当てる予言書となっています。メディア論の古典としてマストな一冊と言われているのも頷けました。副題にある、新しいメディアと人間の肉体機能の代替・拡張についての論考も面白いのですが解説に文字数を要するので割愛します。ぜひ本のほうで読んでください。
 
著者によると文字文化の強いのは英米で、ヨーロッパ・ロシアは口誦文化を残しており、ラジオは部族的なメディアで、ナチスのラジオ演説がもしテレビだったら滑稽さが浮き彫りになりあのような熱狂は起こらないとのことです。ふーん?