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『「医療的ケア」の必要な子どもたち』

 
 
 
元・NHKアナウンサーの内多勝康さんが、NHKを退職して医療的ケア児レスパイト施設のマネジャーに転身するまでの経緯と現在、医療的ケア児をとりまくさまざまな問題を提起し解説された本です。内多アナといえば、お顔を見れば多くの方が「ああ!」と思うくらい定時ニュースで親しまれたアナかと思います。転身について私は民放ニュース番組の特集コーナーで初めて知って以来、広報活動で出演されるTVやラジオなど拝見拝聴させていただいています。
こんなことを言ってはいけないのは重々分かっているんですけど、NHKアナを退職して新たな道に行くにしても、いろんな方がいますね!こんなにもヒューマンで、問題意識を掲げる活動に地道に奉仕する立派な人もいるんだなあと思うと……。これ以上は言うまい。
 
余談になりますが、先ほど言った民放ニュース番組の特集コーナーでのナレーションが坂本真綾さんで、ちょうど施設を利用されていた子供さんが私と同じ病気だったので、坂本真綾さんの声が超レアな私の持病の病名と説明をしてくれるという激レアシチュエーションに私がどれほど感動したかおわかりだろうか。
 
はい。そんなわけで、私は(重症度の違いにより)思春期以降の患者であるという違いはあるのですが、医療的ケアの当事者です。新生児期医療の発達によって増加している医療的ケア児とは、人工呼吸器や胃瘻といった医療行為の継続を日常的に必要とする状態で家(在宅医療)に帰される子供たちのことを言います。おおむね24時間の看護(痰の吸引など)を必要とするため、受け入れ可能な保育園や療育施設が少なく、保護者は就業困難となり、また就学にあたっても数々の問題と壁にぶつかることになります。
 
思えば私の同病の姉が人工呼吸器を着けて家に帰ってきた三十年ちょっと前、あの頃は在宅移行自体の黎明期であって、移行の判断も対応も何もかも手探りでしたが、現在は在宅移行のプロセスは洗練化され、医療的ケア児(者)の在宅介護は当たり前となり、課題は次のフェーズに進んでいるんだなあと感慨を持って読みました。次のフェーズとは就学問題です。医療的ケア児の通常学級での受け入れ体制には地域差があるようですが(各種報道を追っていると関西のほうが進んでいる印象ですね)、まだまだ世間や現場の無理解が目立ちます。支援学校で専門的なケアと教育を受けるほうが本人のためという大衆からの意見をよく見ますが、たとえば支援学校の送迎バスに医療的ケア児は乗せてもらえないケースがあります。ただでさえ自宅から遠い支援学校ですら、医療的ケア児の受け入れ体制が必ずしも充実しているというわけではないのです。
 
この就学問題というフェーズに関しても、十年、二十年先には、あの頃は試行錯誤だったねえと感慨されるくらい当たり前のものになっていくことを願ってやみません。障害児や障害児教育の知識のない世間ほど「専門的な」という分かったような言葉を使いたがりますが、どのような子供にとっても、刺激に勝る療育はありません。同世代の大勢の子供の中に放り込まれることこそが、発達にとって大切なのです。