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契約者が、夢を見るはずないもんな……

 
#9,#10 ところで、未咲さんは私のむっちゃ好みのタイプです。美人ですよねえ。「裏切られたんですね。かわいそうに」で激昂させるまでが落としテクですね使わせてもらいます(誰に使うんだよ)。「友達に裏切られるのは、やっぱりつらいことですから……」こいつ実経験を混ぜて演技にリアル感を出しやがってるな何か腹たつわー。物語の核となっている父娘関係の確執は普遍的な心理が用いられていますね。十年前の初見のときに拾えていたかどうか自信がないのですが、いま観ると胸に刺さるものがあります。よくわかります(継子の男子が生まれなかった大きな家の娘の話というのは型として普遍的なものです)。いま観ると、この作品は相当に心理学を読み込んで作ってあるんだなあという気がいたします。私には知識がないのでささっと小気味よく紐解けませんが……。
 
なにしろ十年前の初見時の記憶が抜けているので一から考察し直さないといけない部分もあるわけですが、えーと、#6のハヴォックの証言では、天国戦争前まで、妹といた頃の黒は完全に冷酷無比の死神だったと。これって興味深いですよね、ふつう、裏切りにあって大事なものを失くす→心を閉ざして寡黙になる、がスタンダードですが現在の黒はむしろ人間的にふるまう(ことを抑えきれていない)、と。ということは、当時は妹、白がいわゆる〈煙草〉のポジションにあったとみることができますでしょうか。
依存先を失くしたこと、仲間の裏切りに遭ったこと、この二つを経た現在の黒が生きているのは何ひとつ確かなことなどない世界ということになります。そして作品世界としても、話数が進むにつれて、この〈何ひとつ確かなことはない〉という真実がどんどんアピールされていきます。

(〈設定の開示〉と、〈でもその設定も本当はそれほど確かなことじゃない〉、というのを並行して観せていくというのはかなり難しい構成をとっているように思いますが、一巡目はそれが確かに視聴者としてストレスになっていたかもしれないですが、二巡目だと完成度の高度な充溢という感じがします。)

そもそも視聴者はずっと、この主人公のどこまでが演技で、どこからが、あるいはどこかには素が現れているのか、ということを注視し、また翻弄されながら画面を観てきているわけでして。……そこへパンドラ篇がやってまいります。
 
#11,#12 やってまいりましたパンドラ篇。「契約者を見抜く方法は、実はないんですから」これは科学的検査つまりデジタルに見ても、という意味で初見の頭には入ってきますが、よくよく考えると深い言葉ですしキーストーンのような言葉ですね。ドールの様態と契約者の異能の実存的な設定(表層)以外は何も確かなことではない。そしてここは輪をかけて何でもありのヘルズゲートの中。私これ初見でちゃんと理解できたんでしょうか。十年前に書いていたはずの感想は探せば下書きがどこかにあるとは思うけど恐ろしくて絶対に探しませんよ!読み返さずに二巡目の感想を書いています! この話を過去の私はちゃんと解釈できたんでしょうか? 契約者は夢をみることができないのかもしれないけれど、夢をみることのできる人に同じ夢をみてもらえれば流星のかけらの力が発現するかもしれない。とニックは思った。でも多分、ここで重要だったのは仮託というよりも共有だったと思うんですよね。李くんがニックの夢を観測したからそれは現実になったんじゃないかと。量子論というのはちょっと扱い難いワードなのですけれども、まあそういうことで。そして銀の観測霊に観測されることで彼は現実に戻ってくるんですよね。ここの「銀(イン)」という台詞がとても親しみのある優しい声なのでちょっとびっくりするというか、これがフックになって解釈を導くようになっているのかな。そのあとで、いかにも冷たく無機質な博士の声で「黒(ヘイ)」と呼ばれて段階的に彼の現実が確定していく感じもすごくいい。

このエピソードはミステリーとしても安直に先を読ませず、よくできている……。あと、初見のおぼろげな記憶にあるよりも、ヒロインはわりと役に立っていたんだな。かわいいし。